パチンコに勝てないのはこれが理由?新基準について調べてみた

「新基準になってから勝てなくなった」

そんな声を聞いたことがないでしょうか。
あるいは、あなた自身がそう思っているかもしれません。

2018年2月から導入されたパチンコ新基準では、出玉上限や出玉率が引き下げられました。
具体的には

  • 6段階の設定を導入
  • 1回の大当たりの出玉上限が2,400発→1,500発へ
  • 4時間パチンコ台を遊戯した場合の出玉が3分の2に、金額にして5万円以内に

となっています。

つまり大勝ちすることがなくなりました。これではギャンブルとしての魅力は激減です。
なぜこのような規制が設けられたのでしょうか。

その理由は「依存症対策」です。

「なぜ急に依存症対策を行うのか」「依存症の何が問題なのか」「パチンコと依存症にどんな関係があるのか」

この記事で、これらの疑問に答えてみせましょう。

パチンコの新基準

「そもそも何のための新基準なんだ」

「我々からなぜ楽しみを奪うのか」

お怒りはごもっとも。
では、規制する側は何と言っているのでしょうか。

新基準導入に先立つ2017年11月14日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進)が開催した秋季セミナーにて、警視庁生活安全局保安課課長補佐(当時)の津村優介氏はこう語っています。

最初に、ぱちんこへの依存防止対策についてお話しします。

ぱちんこへの依存問題については、昨年12月に成立したいわゆるIR推進法の審議において重大な問題として指摘されたほか、同法の附帯決議において、「カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊技等に起因する依存症を含め、ギャンブル等依存症対策に関する国の取組を抜本的に強化するため」、「関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること」とされるなど、ぱちんこを含めたギャンブル等依存症への対策の強化が求められました。

引用元:遊戯日本(https://yugi-nippon.com/pachinko-news/post-16001/)

また、

次に、射幸性の抑制に向けた取組についてです。

(中略)

今回の規則改正では、射幸性の抑制の観点からではありますが、ぱちんこ遊技機にも「設定」の導入が認められたことから、くぎ曲げの抑制にも資するものと考えています。こうした改正を踏まえてもなお行われるくぎ曲げについては、とりわけ厳しく取締り等を行う必要があると考えています。

引用元:同上

つまり「依存防止対策」と「射幸性の抑制」が新基準導入の目的と言うわけです。

新基準導入の目的① 依存防止対策

一つ目の理由が「依存防止対策」です。
人はなぜ依存症になるのでしょうか。

パチンコ中毒(依存症)必見!パチンコをやめる方法3ステップ

この記事の中で、私自身の経験をもとに理由を解説しています。

さて、中毒になるほどパチンコにハマっちゃう原因とは、の話。大きな原因の1つにパチンコ打ってて大当たりした瞬間の高揚感があります。私は初めてのパチンコでこの高揚感を味わってしまいました。3000円が2万円になって興奮し、大当たりの演出に興奮しました。

実はこの高揚感や興奮してる時、その人の脳内では「エンドルフィン」という物質がドバドバ出ています。このエンドルフィンという物質、簡単に言うと「快楽物質」です。脳内麻薬とも言われていますね。「麻薬」という文字の通り症状もそれに近いのです。

当然「またあの快楽を得たい!」と渇望するようになり、徐々にパチンコへ行く回数が増えてくる。そこへまた運悪く(運よく?)稼いでしまい、さらにパチンコへ行く回数が増える。行く回数が増えてしまうと、それが習慣化してしまいます。

習慣化されてしまったら、もう最悪です。こうなってくると負けが続いてもパチンコへ行ってしまうのです。私もあの頃は思い出したくないですね。

こうして依存症になると、もうパチンコのことしか考えられなくなります。「お金があればパチンコに行き、お金がなければ借金してでもパチンコに行く」「経済的にも人間関係的にもヤバくなる」何より辛いのは自分でダメだと分かっているのにやめられないことです。

依存症と聞くと「心の病気」であり「心が弱いからなるんだ」「自分は精神的に成熟しているから決してならない」と言う人がいます。しかし、それは正しくありません。
依存症は脳の器質的な問題、つまり「脳の病気」なのです。

脳卒中や認知症のような脳の病気に誰もがなり得るように、依存症もキッカケさえあれば誰もがなる可能性があります。そのキッカケとなりうる要素が、パチンコなのです。少なくとも日本政府はそう考えていますし、私の経験に照らしても間違いありません。

日本人とギャンブル依存症

それにしても、どうして急に依存防止対策なんて始めたのでしょう。その理由は、日本の置かれたヤバい状況にありました。

厚生労働省の推計では、ギャンブル依存症が疑われる人の割合は3.6%となっています。この数字だけだとよくわからないので、諸外国と比較してみましょう。例えばオランダは1.9%、フランスは1.2%、スイスは1.1%です。3%どころか2%を超える国すらありません。

つまり日本の割合の高さは突出しているのです。ギャンブル大国ニッポンです。ギャンブリンピックなら金メダル間違いなしです。全然うれしくありません。
これには全国のパチンカーも「対策が必要だ」と思わざるを得ないのではないでしょうか。

「でもギャンブルといってもいろいろあるじゃないか。どうしてパチンコを狙い撃ちするんだ」

そう抵抗したくなる気持ちもわかります。しかし、理由は単純明快。日本でもっとも巨大なギャンブル産業が、パチンコだからです。

あなただって本当は気づいているでしょう。町を歩いていて競馬場や競輪場を見かけることはなくても、パチンコ店はいくらでも見かけることに。それだけたくさんあるということは、それだけ巨大な産業だということに。そして自分自身、競馬や競輪よりもパチンコを打つ機会の方が多いことに。

具体的な数字を見てみましょう。2017年のパチンコの売上高は19兆5400億円。これは競馬の8倍以上の金額です。さらにパチンコへの年間支出額は、1人当たり平均217万円にもなります。

認めてください。パチンコを規制せずして、ギャンブル依存症を減らすことはできないのです。

ちなみに、全世界に存在するギャンブル機(パチンコやスロットなど)の約60%が日本にあるということも付記しておきます。

国別のギャンブル機設置台数トップ10(2013年)
順位 国名 台数
1 日本 4,592,036
2 アメリカ 889,070
3 イタリア 412,252
4 ドイツ 265,000
5 スペイン 249,820
6 オーストラリア 198,418
7 イギリス 157,002
8 カナダ 97,289
9 メキシコ 90,000
10 ペルー 76,278

The World Count of Gaming Machines 2013(オーストラリアのゲーム協会がまとめた白書)をもとに作成

新基準導入の目的② 射幸性の抑制

もう一つの目的が「射幸性の抑制」です。
「射幸性」とは聞き慣れない言葉ですが、どういう意味なのでしょう。

努力によらず、偶然によって利益などを得ることができる要素。またはその度合いギャンブル性などと言う場合が多い。

引用元:weblio辞書(https://www.weblio.jp/content/%E5%B0%84%E5%B9%B8%E6%80%A7)

つまり規制する側は、少ない元手で大金を稼げるギャンブル的要素を問題視しているのです。
そもそもパチンコは「遊戯」なので、射幸性があるのがおかしいんです。
では、射幸性の何が問題なのでしょうか。

依存症になる理由に、大当たりした時の高揚感があるとお話ししました。
この高揚感を生む原因が射幸性(ギャンブル性)なのです。

間歇(かんけつ)強化

「高揚感はなにもギャンブルのときだけ感じるわけではないだろう。仕事がうまくいったときやスポーツで勝ったときだって感じるぞ」

確かにその通りです。それにも関わらず、特に射幸性が問題とされる理由。それには、どうやら心理学で言う「間歇強化」が関わっているようです。

バラス・フレデリック・スキナーというアメリカの心理学者が行ったこんな実験があります。
レバーを押せば必ずエサが出てくる装置Aと、レバーを押したら時々エサが出てくる装置Bを使って、マウスの反応を調べるというものです。

装置Aを途中で止めると、マウスはすぐにレバーを押すのをやめました。
今まで押せば必ずエサが出ていたものが出なくなったら、マウスも「もう出ないんだな」と判断するようです。

一方で装置Bを途中で止めても、マウスはレバーを押し続けました。
もともと出たり出なかったりしていたので「今回出なくても、もう一度押せば出るかもしれない」と考えるのでしょう。

この実験から動物は報酬がたまにしか得られない方が得た時の快感が大きくなり、行動を継続してしまうことが判明しました。これを心理学用語で「間歇強化」と言います。

この間歇強化という性質は、マウスに限らず私たち人間にも存在します。
装置Bに対するマウスの反応が、パチンコ中毒者に似ていると思ったのは私だけではないでしょう。
まさにこの実験のマウスと同じことが、ギャンブルにハマる人の身にも起きているのです。

仕事やスポーツなら、もちろん運の要素もありますが、実力をつけることで良い結果を(ある程度)コンスタントに出せるようになります。そこに高揚感はあっても、間歇強化の働きは弱いでしょう。

しかしギャンブルは違います。射幸性とは偶然によって利益を得る要素でしたね。定義からして不確実性が前提となっています。勝つことで高揚感が生まれ、それ(勝って高揚感を得るという経験)が偶然に左右されることで快感が強化されるのです。

なんと悪魔的なコンボでしょう。そりゃ問題視されますわ。

まとめ

新基準導入の理由として以下の2点を挙げました。

  • 依存防止対策
  • 射幸性の抑制

この2つは、同じことを目的にしています。つまり「依存症を減らす」ということです。

諸外国に比べて高いギャンブル依存症の割合を考えれば、規制はやむを得ません。今後、規制がさらに強化されることも十分考えられます。もうパチンコはギャンブルではなく、暇つぶしに遊ぶものだと意識を変える方が良いのではないでしょうか。そもそも「遊戯」ですし。

それでも勝ちたいという方は、以下の記事を読んでみてください。
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